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全ての道はつながる一本の道

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初めて彼と会ったのは春先。正面玄関から職員室につながる階段の踊り場だった
友人と話しながら階段を上がっていて。
話が盛り上がりすぎて、前に人が居るなんて思ってなくて体当たり。
その反動で後ろに倒れこみそうになったのを
彼のその手で力強く支えられ、助けてもらった。
残念な事に『落ちる』という驚きに掻き消されてその感覚は記憶になくて。
彼の心配げで、優しい微笑だけが今も忘れずに残ってる。
「ありがとうございます」
それしか伝えられなかったけど。
あの日からあたしはあの人を忘れられないでいる。

『誰だろう』

学期始めでもない時期だったので、生徒の父兄だと思ってた。
次に会ったのはその翌週、病気療養中の国語の先生の代わりだと言い
『シン・ヘソン』
と自分の名を黒板に書いて自己紹介を始める彼
また会えたというだけで嬉しくて。
ノートの新しいページに彼の名を丁寧に書き取った。

その日からまだそう経ってはないというのに・・・。

「みんな、ありがとう。短い間でしたが今日で僕の授業は終わりです」

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彼は小テストをまとめながら言う。
がやがやとしていた教室はすぅっと静まり返った。
「先生が退院されて復帰されます。喜んでください」
といつもの笑顔で続ける。
「ええっ!!」
と叫ぶ女子
「冗談だろ?」
と何故か不機嫌につぶやく男子。
そしてなにも言えないでいるあたし。
「いつでもまた会えるし、相談したいことがあれば連絡できる距離だから、笑顔で送り出してくれよな」
と言うと、みんなが拍手で応えてた。

教室を出てゆく彼の背中を見送ることができなくて。
あたしは彼が立っていた窓辺から外を眺めた。
彼がそこから何を見ていたのかはわからないけど。
広々としたグランドと抜けるような青く透明感のある空が清々しい気持ちにさせてくれる。
『明日からは学校に来ても、彼とは逢えないんだ』
そう思うとやっぱり悲しい。
今日が最後の日だから、下校時間に正門で待ち伏せする?
逢いたいのか、逢いたくないのか、お別れを言いたいのか、言いたくないのか?
気持ちが大きすぎると上手に整理できなくて、動けなくなる。
偶然を装って一緒に帰るなんて事はできないけれど、せめてお別れの挨拶がしたい。
「一緒に帰ろうよ」という友人の誘いを断って
結局今、こうして正門前で彼が来るのを待っている・・・。
だけど声をかけられる自信はなくて。

国語は好きな教科じゃなかったけど、彼の教えてくれる事は素直に受け入れられたし
自然と成績も上がった。
頑張ればもっと上位を目指せたのだろうけど、優等生になって目立とうと思わなかったのは
生徒として見られたくなかったからです。
出来の悪い子と思われない程度の成績が一番いいポジションだよね。
一度も『先生』って呼ばなかったこと、気づいてる?

【あたし】と【彼】という以外の修飾語や役割は必要ないのに
先生と生徒という配役がされていて
二人の間には見えない仕切りで区切られている。
そこを飛び越えることはできても、取り去ることはできないから。
生徒という印象をもたれないように、目立たないで居たはずだった。

『あんなに見つめていたから、気づかれているのかもしれない』

と考えていると、彼がゆっくりと歩いてくるのが見えた。
逃げ出したい気持ちが膨らんで来たけれど、気づくのが遅過ぎて
・・・もう目の前。
今から逃げても間に合わないよ



まだ続くらしい・・・。
長っ!

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